「ゆらぎ」は説明しにくいもの 

NHKの「シン仮面ライダー」製作現場密着のドキュメント見た方いますか?
残酷な番組でした。
庵野秀明監督がアクション監督に対してバンバンNGを出すんです。
そうじゃ無い!そんな型にハマったアクションなんかじゃダメなんだ!って。
アクション監督はその道のプロフェッショナルですが、そのアクションをすべて否定する庵野秀明監督。
じゃあ、どういうアクションならいいのか?と聞くと歯切れ悪い回答しかしない庵野秀明監督。
この番組を見た人のほとんどはアクション監督に同情したでしょう。
私はね、あぁ、庵野秀明監督のイライラはわかってて、番組を見てましたよ。
要は庵野秀明監督は「ゆらぎ」を撮りたかったんですよ。
アクション監督が長年やってきて、洗練されたアクション、カッコいい型にハマったアクション。
見た人には一瞬一瞬がカッコよく見えるのですが、深層心理に響くものは無い。
作られたものでは無く、自然なアクションを庵野秀明監督は求めたんですよ。
ゆらぎを「こうやれ!」って人に説明なんかできません。
だから庵野秀明監督は指示するときに歯切れが悪かったんです。指示できないことがわかってるから。
私は自分で作るからそういう問題は発生しませんが、チームでの製作となると絶対支障になるところですね。
だからシン仮面ライダーのアクションはたぶん庵野秀明監督は妥協妥協の積み重ねで完成させていったのだと思います。
満足いく「ゆらぎ」はもう自分がやるしかなくなるからです。